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コンソールケーブルをストレートケーブルで延長する

「コンソールポートに接続して作業したいが、ラック位置が遠い」といった場合は、ケーブルを延長することで遠い場所から作業することが出来ます。ここでケーブルの結線(内部の芯線がケーブルの両端でどのように紐付けてあるか)をまとめてみます。

イーサネットケーブルの結線

イーサネットには「ストレート」と「クロス」の、二種類のケーブルがあり、それぞれ内部結線は以下のようになっています。ケーブルの内部には 8 芯の銅線が入っており、ストレートの場合は「1 と 1」「2 と 2」「3 と 3」のように、ケーブルの両端で同じ番号がペアになっています。対して、クロスケーブルの場合は「1 と 3」「2 と 6」がペアになっています。

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GigabitEthernet(1000MB)以上であれば 8 芯全てを使っています。しかし、FastEthernet(100MB)では「1, 2, 3, 6」の 4 芯しか使っておらず、「4, 5, 7, 8」の芯が無くても、通信は出来ます。ただし、この「4, 5, 7, 8」の 4 芯が無いと PoE 環境ではトラブルになる場合があります。

PoE(Power over Ethernet)で利用される芯線

IP 電話へイーサネットケーブルで給電する「PoE」(Poewr over Ethernet)では、給電に使う芯線に二通りの方式があります。図中、赤線の部分が給電に使われる芯線です。

  • モード A(オルタナティブ A)
    • 通信に利用している芯線と、給電用の芯線を共有する方式。具体的には「1, 2, 3, 6」の芯線を用いて給電する
  • モード B(オルタナティブ B)
    • 通信に利用していない芯線を利用して、給電用を行う方式。具体的には「4, 5, 7, 8」の芯線を用いて給電する

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「4, 5, 7, 8」の 4 芯が存在していない(逆に言えば「1, 2, 3, 6」のみ、存在している)安価なケーブルだと、モード B 環境では給電出来ないことになります。

また、PoE は IEEE802.3af で標準化されており、給電側は「Power sourcing equipment」を略して「PSE」、受電側は「Powered devices」を略して「PD」と呼びます。PSE 側の給電方式については、「33.2.1 PSE location」で以下のように定義されています。

PSEs may be placed in two locations with respect to the link segment, either coincident with the DTE/ Repeater or midspan. A PSE that is coincident with the DTE/Repeater is an “Endpoint PSE.” A PSE that is located within a link segment that is distinctly separate from and between the MDIs is a “Midspan PSE.” The requirements of this document shall apply equally to Endpoint and Midspan PSEs unless the requirement contains an explicit statement that it applies to only one implementation. See Figure 33–4. Endpoint PSEs may support either Alternative A or B, or both. Endpoint PSEs can be compatible with 10BASE-T, 100BASE-TX and/or 1000BASE-T.

続いて、PD 側については以下のように定義されています。

33.3.1 PD PI

The PD shall be capable of accepting power on either of two sets of PI conductors. The two conductor sets are named Mode A and Mode B. In each four-wire connection, the two wires associated with a pair are at the same nominal average voltage. Figure 33–5 in conjunction with Table 33–7 illustrates the two power modes. The PD shall be implemented to be insensitive to the polarity of the power supply and shall be able to oper- ate per the PD Mode-A column and the PD Mode-B column in Table 33–7. NOTE—PDs that implement only Mode A or Mode B are specifically not allowed by this standard. PDs that simultane- ously require power from both Mode A and Mode B are specifically not allowed by this standard.

給電・受電方式の観点から両者をまとめると、以下のようになります。

  • PSE 側(給電側)
    • モード A かモード B のいずれか、もしくは両方をサポートすれば良い
  • PD 側(受電側)
    • モード A、モード B の両方をサポートしなければならない

コンソールケーブル(ロールオーバーケーブル)

正式名称は「ロールオーバーケーブル」だと思うのですが、俗に「コンソールケーブル」「Cisco ケーブル」とも呼ばれているケーブルです。IP での接続性が無くてもアクセス出来ますので、機器の初期設定や障害時のモニタリングに利用されます。結線は「1 と 8」「2 と 7」「3 と 6」「4 と 5」がペアになっています。

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コンソールケーブルを延長する

機器から作業場所まで遠い場合や、例えばデータセンター内などで「寒い」「空調が五月蝿い」といった理由から機器の近くでは作業し辛い場合はコンソールケーブルを延長します。上述の通り、ストレートケーブルは結線的に見ればクロスケーブルやコンソールケーブルのように組み合わせを変更したりせず、そのまま真っすぐに延ばしているだけですから、コンソールケーブルにストレートケーブルを接続して延長するだけです。結線のイメージは以下のようになります。

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RJ45 のケーブル同士を接続する際は、以下のような LAN 延長アダプタを利用します。LAN 延長アダプタは TSUKUMO のオンラインショップなどで購入することが可能 です。

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長めのストレートケーブルを接続すると、総ケーブル長が気になりますが、Cisco 機器であれば 15m 程度までケーブルを延長しても特に問題なく、通信出来ました。後述しますが、コンソールを管理するアプライアンスである DigiCM のページには以下のように「ケーブル長 15m 以内」という記載がありました。

SunFireや、Ciscoルータ等のRJ45のシリアルポートを持つ機器とは CAT5 LANケーブル(ストレート)で接続できます。(ケーブル長15M以内)

## コンソールサーバで、多数の機器へのコンソールアクセスを管理する

管理対象の機器が多くなると、コンソールアクセスを管理出来る製品を用意した方が便利です。こういった製品は「コンソールサーバ」「アクセスサーバ」と呼ばれ、これらの機器を踏み台にして、各機器のコンソールポートへアクセスすることが出来ます(Cisco のアクセスサーバは販売終了しています)。

コンソールサーバを使うと多数の機器を管理出来るだけでなく、コンソールアクセス時にセキュリティ保護をかけられたり、付加的なメリットもあります。