ESXi に Nutanix Community Edition(2015/06/08beta)をインストールするには
ハイパーコンバージドインフラの先駆的存在である Nutanix ですが、先日、無料の Community Edition が発表されました。
Community Edition を手軽に試す為、今回は vSphere ESXi 5.5 Update 2 環境にインストールしてみます。
用語の説明¶
- Acropolis Hypervisor
- KVM を独自拡張したハイパーバイザーのこと
- PRISM
- Acropolis と組み合わせて仮想マシンやストレージを管理出来るツールのこと
- CVM
- Controller VM。管理用に作成される VM のこと
事前準備¶
予め、以下を用意しておきます。
- Nutanix Community Edition のインストールイメージ
- インストールイメージを ESXi に認識させる為のファイル
インストールイメージは Nutanix のコミュニティである NEXT にユーザ登録し、ダウンロードしておきます。
インストールイメージを ESXi に認識させる為のファイルは以下からダウンロード出来ます。ダウンロードが完了したら展開しておきます。
具体的にはリンク先の、下図の位置にあります。
リネーム前 | リネーム後 |
---|---|
ce.txt | ce.vmdk |
ce-2015.06.08-beta.img.gz | ce-flat.vmdk |
リネームが完了したら ESXi のデータストアにアップロードしておきます。
仮想マシンの作成¶
vSphere Web Client から仮想マシンの新規作成を行います。仮想マシンの作成ウィザードが表示されたら、まずは「仮想マシンの作成」を選択したままの状態で「次へ」をクリックします。
仮想マシン名と格納先を選択します。
仮想マシンを実行するクラスタ / ホスト / vApp / リソースプールを選択します。
仮想マシンを保存するデータストアを選択します。
仮想マシンのバージョンを指定します。今回の環境(ESXi 5.5 Update2)の最新である「ESXi 5.5 以降」を選択します。具体的に仮想マシンのバージョンは 10 が作成されます。
ゲスト OS を指定します。ゲスト OS ファミリは「Linux」を、ゲスト OS バージョンは「CentOS 4/5/6/7(6b4 ビット)」を選択します。
仮想マシンのハードウェアを構成します。まず、以下を指定します。
- CPU コア数は「4」を指定します
- 「ハードウェアの仮想化」にチェックを入れます
続いて、以下を指定します。
- メモリは「16GB」を指定します。単位が MB 等では無く、「GB」になっていることに注意します
- ネットワークのアダプタタイプに「E1000」を指定します。Nutanix Community Edition では Intel NIC しか認識出来ないようなので、VMXNET2 や VMXNET3 を指定しないように注意します
- 不要であれば、フロッピーディスクドライブは削除します(今回は削除しました)
次はディスクの指定に移ります。Nutanix では頻繁にアクセスするデータを配置する高速な「Hot Disk」に、アクセス頻度の低いデータを配置する低速な「Cold Disk」に配置します。今回は以下の構成とします。
仮想デバイスノード | 容量 | 用途 |
---|---|---|
SCSI (0:0) | 200GB | 頻繁にアクセスするデータを配置する Hot Disk |
SCSI (0:1) | 500GB | アクセス頻度の低いデータを配置する Cold Disk |
SATA | N/A(既存イメージを読み込ませる。実際には約 7 GB) | Nutanix Community Edition のインストーラ |
まず、Hot Disk として認識させる 1 台目のディスクを設定します。
- ディスクサイズは「200GB」を指定します
- ディスクプロビジョニングは「Thin Provisioning」を指定します
- 仮想デバイスノードは「SCSI (0:0)」を指定します
Cold Disk として認識させる 2 台目のディスクを設定します。まず、「新規デバイス」から「新規ハードディスク」を選択し、ディスクの追加を行います。
パラメータには以下を指定します。
- ディスクサイズは「500GB」を指定します
- ディスクプロビジョニングは「Thin Provisioning」を指定します
- 仮想デバイスノードは「SCSI (0:1)」を指定します
次は Nutanix Community Edition のインストーラが入った USB ディスクイメージとして認識させる SATA デバイスを作成します。まずは SATA コントローラを追加します。
続いて、ディスクの追加を行います。既存の Nutanix Community Edition インストールイメージを指定しますので、「既存のハードディスク」を選択します。
ファイルには事前にアップロードしておいた「ce.vmdk」ファイルを指定します。
ディスクファイルには先程、指定したファイルが表示されているはずです。仮想デバイスノードは「SATA (0:0) 新規ハードディスク」を指定します。
SATA のディスクとしてインストーラを認識させたので BIOS の起動順序を変更し、SATA デバイスから(インストーラから)起動するようにします。その準備として「仮想マシンオプション」→「起動オプション」と辿り、「次回仮想マシンの起動時に、強制的に BIOS セットアップ画面に入る」にチェックします。
構成した仮想マシンの設定一覧が表示されます。指定した通りになっていることを確認したら、終了します。
BIOS での起動順序変更¶
BIOS で起動ディスクの優先順位を変更します。デフォルトでは SATA の優先度が最も低くなっています。これを「-(マイナス)」や「+(プラス)」キーで変更し、SATA の優先度を最も高くします。設定が完了したら「F10」を押して設定を保存し、BIOS の設定画面を終了します。
Nutanix Community Edition のインストール¶
BIOS の設定画面を抜けると、SATA デバイス上のインストーラから起動してきます。しばらくするとログインプロンプトに遷移します。
ログインプロンプトが表示されます。
1 2 3 4 5 |
|
「install」ユーザでログインするとインストールが始まるのですが、その前に Hot Disk を擬似的に SSD として見せる設定が必要です。「install」ユーザではなく、「root」ユーザでログインします。
項目 | 値 |
---|---|
ユーザ名 | root |
パスワード | nutanix/4u |
fdisk -l 等でディスクがどういったデバイス名で認識されているのかを確認します。以下の例では容量を 200GB に設定した Hot Disk が /dev/sda として認識されているのが分かります。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 |
|
Linux では /sys/block/デバイス名/queue/rotational の値は以下の意味を持ちます。
値 | 説明 |
---|---|
0 の場合 | SSD として認識 |
1 の場合 | HDD として認識 |
ここでは Hot Disk として認識させたい /dev/sda に「0」を設定し、擬似的に SSD として認識させます。
1 2 3 |
|
擬似的に SSD として見せる設定が完了したらログアウトし、次は「install」ユーザでログインし直します。パスワードは不要です(パスワードを入力せず、ログイン出来ます)。
1 2 3 4 5 |
|
「install」ユーザでログインするとインストーラが起動します。まず、キーボードのレイアウトを指定します。ここでは「jp106」を指定しました。
次は以下の設定を進めます。
- ホストのネットワーク設定
- CVM のネットワーク設定
- 1 ノードクラスタを作成するか?否か?
1 ノード構成の場合に限り、「Create single-node cluster?」にチェックを入れると自動的にクラスタを構成してくれます。但し、ホストと CVM がクラス C ネットワーク(192.168.0.0/16)にいる状態では上手く動作しないそうなので、このチェックを外して進む必要があるそうです。今回は 1 ノード構成且つ、クラス C ネットワークを利用していないのでチェックを入れて進めます。
EULA は矢印キーでスクロールすることが出来るのですが、最後まで表示していない状態で先に進めようとするとエラーになってしまう為、必ず最後までスクロールする必要があるようです。
これで必要な項目は全て指定出来ました。後はインストーラが完了するまで、待つだけです。以下のように表示されたらインストール完了です。
1 2 3 |
|
Enter を押すと、以下のようなプロンプトに遷移します。
1 2 3 4 |
|
以下のユーザでログイン出来ます。
項目 | 値 |
---|---|
ユーザ名 | nutanix |
パスワード | nutanix/4u |
「Create single-node cluster?」にチェックを入れて進めたのですが、なぜか DNS は設定されないようです? ログイン後、ncli コマンドで対話型シェルを起動し、cluster add-to-name-servers servers="DNS アドレス" コマンドで DNS サーバを設定します。今回は Google DNS(8.8.8.8)を設定しました。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 |
|
ここまで設定出来たら CVM にログインします。インストール中に指定した CVM のアドレスへブラウザでアクセスします。具体的にはブラウザで「https://CVM アドレス:9440/」にアクセスします。初回アクセス時は admin ユーザのパスワードを設定するように求められます。ここで入力したパスワードは忘れないようにします。
admin のパスワードを設定すると、PRISM のログイン画面に遷移します。ユーザ名には「admin」、パスワードには admin パスワードとして設定した文字列を入力し、ログインします。
初回のみ、「This cluster has a licensing violation. View licensing details」と表示され、Nutanix のコミュニティである「NEXT」に登録したユーザ情報の入力を促されます(※ CVM へのログイン情報では無く、NEXT コミュニティのユーザ情報であることに注意です)。特に入力回数の制限は無いようで、Nutanix Community Edition を複数回インストールし、毎回同じ自分の NEXT ユーザ情報を入力しても問題ありませんでした。
これで PRISM にログイン出来ました。
これでインストールは完了です。