Cisco IOS へのログインで RADIUS 認証を利用する際のポイントと設定例
Cisco IOS へのログインに RADIUS を利用する際の設計ポイントと実際の設定例をメモしておきます。検証には VIRL 上の IOSv 15.6(2)T を利用しました。以下の点に留意して設計していきます。
【ポイント.1】基本的なパラメータは?¶
RADIUS を利用するのであれば最低限、以下の項目は必ず必要になります。
- RADIUS サーバは冗長化するか? それともシングル構成か?
- RADIUS サーバのアドレス
- RADIUS サーバのポート番号
- RADIUS シークレット
その他には以下等の詳細パラメータを決めていきます。
- RADIUS 認証のタイムアウト/再送回数
設定例¶
RADIUS の設定を行う前に最低限、基本設定を済ませておきます。
- SSH ログイン出来る設定
- RADIUS サーバの定義
具体的な設定例は以下の通りです。
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【ポイント.2】VTY ログインを許可するプロトコルは?¶
VTY ログインを許可するプロトコルを決める必要があります。大凡の場合、以下のうち、いずれかを選択することになると思います。特に理由が無く、機器のライセンス的にも問題が無いのであれば、「SSH のみ」にしておくのが良いと思います。
- SSH
- TELNET
- SSH と TELNET の両方
設定例¶
設定例は以下の通りです。
SSH¶
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TELNET¶
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SSH と TELNET の両方¶
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【ポイント.3】ログイン方式毎のログイン認証方式をどうするか?¶
「コンソールログイン」「VTY ログイン」各々で利用するログイン認証方式を以下から選択します。
- RADIUS 認証
- RADIUS サーバダウン時はログイン出来ない
- つまり、RADIUS サーバダウン時は何も出来ない
- RADIUS 認証 → ローカル認証
- RADIUS サーバダウン時はローカル認証にフォールバックする
- つまり、RADIUS サーバダウン時でもログイン出来る可能性が残る
- ローカル認証
- RADIUS 認証を利用しない
設定例¶
コンソールも VTY も RADIUS 認証を利用する¶
「line con」と「line vty」の両方に同じグループを定義することで同じ認証方式(今回であれば RADIUS 認証)を設定します。以下の設定例では「RADIUS サーバダウン時はローカル認証にフォールバック」させています。
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フォールバックさせたくない場合は aaa authentication login の設定を以下のように変更します(local-case を削除することで Backup authentication の設定を削除します)。
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コンソールはローカル認証、VTY は RADIUS 認証を利用する¶
「line con」と「line vty」で異なるグループを設定します。
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【ポイント.4】enable パスワードの認証方式をどうするか?¶
enable パスワードの認証方式に以下から選択します。
- RADIUS 認証
- RADIUS 認証 → ローカル認証
- ローカル認証
但し、enable パスワードの認証方式は コンソールログインと VTY ログインで分ける、ということが出来ません。 つまり、enable パスワードの認証方式を「コンソールログイン時はローカル認証方式を、VTY ログイン時は RADIUS 認証方式という具合に使い分ける」ということは出来ないようです。もし「RADIUS 認証のみ」としていると RADIUS サーバがダウンしてしまうと enable モードに移行出来なくなってしまいます。
尚、RADIUS 認証を利用する場合、RADIUS サーバには「$enab15$」というユーザ名で認証を行います。よって、RADIUS サーバ側には「$enab15$」という名前のユーザを定義しておく必要があります。
設定例¶
ローカル認証を利用する¶
デフォルトではローカル認証になるので、特に明示的な設定は必要ありません。
RADIUS 認証を利用する¶
RADIUS 認証を利用するには以下のように設定します。下記の設定例では RADIUS サーバダウン時にはローカル認証にフォールバックするように設定しています。
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フォールバックさせたくない場合は以下のように設定します。
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【サンプル】コンフィグ例¶
以下の方針/パラメータでコンフィグを作成してみます。
項目 | 値 |
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VY アクセス | SSH のみ |
コンソールログイン時の認証方式 | ローカル認証のみ |
VTY ログイン時の認証方式 | RADIUS 認証 → ローカル認証 |
enable 実行時の認証方式 | RADIUS 認証 → ローカル認証 |
RADIUS サーバのアドレス | 192.168.1.100 |
RADIUS サーバのポート番号 | 1812 |
RADIUS シークレット | SECRET |
ローカル認証時のユーザ名 | LOCAL-USER |
ローカル認証時のパスワード | LOCAL-PASS |
ローカル認証時の enable パスワード | PASSWORD |
具体的なコンフィグ例は以下です。
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