Cisco Catalyst上にThousandEyesのEnterpriseAgentをインストールする
ThousandEyesでネットワークを可視化するにはエージェントを用意する必要があります。エージェントはLinuxへインストールすることもできますが、Cisco製のネットワーク機器上へインストールすることもできます。Catalystにはコンテナを動作させることができるApp-Hostingという機能があり、ThousandEyesのエージェントはこの機能を使ってコンテナとして動作させます。今回はCatalyst9300上へエージェントをインストール手順をメモしておきます。
検証環境¶
対象 | バージョン |
---|---|
IOS-XE | 17.12.05 |
EnterpriseAgent | 5.0.1 |
事前準備¶
Catalystへエージェントをインストールする前に事前準備が必要です。
空き容量の確保¶
エージェントのインストールにはある程度、ストレージの容量が必要になります。空き容量を確保する為、事前に不要なファイルは削除しておきます。もし何度かバージョンアップを繰り返している環境であれば、不要となった古いOSバイナリが残っているかもしれません。こういった場合はinstall remove inactive
を実行して古いOSバイナリを削除します。
install remove inactive
App Hostingの有効化¶
コンテナを利用する為にApp Hostingを有効化します。iox
を設定します。
Catalyst# configure terminal
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
Catalyst(config)# iox
Catalyst(config)# end
App Hostingサービスの起動状態はshow iox-service
で確認できます。サービスが起動(Running)状態になるまでしばらく時間がかかります。サービスが完全に起動していないと後の手順でコンテナが起動出来ない為、サービスが完全に起動するまで待ってから以降の手順に進みます。
インターネット疎通性の設定¶
エージェントをインストールする際はインターネットからバイナリをダウンロードします。その為、IPアドレスやデフォルトルートの設定が必要になります。
interface GigabitEthernet1/0/1
switchport trunk allowed vlan 1234
switchport mode trunk
!
interface Vlan1234
ip address 10.0.0.1 255.255.255.0
!
ip route 0.0.0.0 0.0.0.0 10.0.0.254
名前解決の設定¶
上記と同様の理由から名前解決の設定も必要です。名前解決できるようにDNSサーバも設定しておきます。
ip domain lookup
ip name-server 1.1.1.1 1.0.0.1
AppGigabitEthernetインターフェイスの設定¶
Catalystスイッチ/ルータ上のコンテナが外部宛に通信する設定方法は幾つかあります。Catalystスイッチの場合、ThousandEyesで自動生成されるコンフィグは「AppGigabitEthernetインターフェイスをTrunk設定して、ここを経由して通信する」ことになります。その為、予めAppGigabitEthernetインターフェイスへTrunk設定をしておきます。
interface AppGigabitEthernet1/0/1
switchport trunk allowed vlan 1234
switchport mode trunk
Web管理画面からインストールコマンドの確認¶
ThousandEyesのWeb管理画面へログインし、Network & App Synthetics
→Enterprise Agents
→Agents
→Add New Enterprise Agent
をクリックします。
Cisco Application Hosting
→Catalyst Switching
から必要情報を入力します。
項目 | 値の例 | 説明 |
---|---|---|
App ID | TE-AGENT | App Hosting上のコンテナへ割り当てる名前 |
Agent Hostname (Optional) | - | TEのWeb管理画面上に表示する名前。省略した場合、Cisco機器と同じ名前になる |
VLAN ID | 1234 | AppGigabitEthernetでTrunk設定しているVLAN ID |
Name Server IP | 1.1.1.1 | エージェントが名前解決に利用するDNSサーバ |
IP Address | 10.0.0.100 | エージェントに割り当てるIPアドレス。上記で指定したVLANから払い出す |
Netmask | 255.255.255.0 | エージェントに割り当てるネットマスク |
Gateway IP | 10.0.0.254 | エージェントに割り当てるネットワーク。上記で指定したVLAN上のゲートウェイを指定する |
入力した値に従ってCLI用のコンフィグが生成されます。後の手順で順次、これをCatalystへ設定していきます。
生成されたコンフィグのサンプルは以下です。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 |
|
エージェントのインストール¶
Catalystへ順次、設定していきます。まず、以下を実行してEnterprise Agentをインストールします。
enable
app-hosting install appid TE-AGENT package https://downloads.thousandeyes.com/enterprise-agent/thousandeyes-enterprise-agent-x86_64-5.0.1.cisco.tar
インストールが完了するまでしばらく時間がかかります。State
の表示がINSTALLING
からDEPLOYED
に変わったらインストール完了です。
Catalyst# show app-hosting list
App id State
---------------------------------------------------------
TE-AGENT DEPLOYED
App Hostingの設定¶
残りの設定を実施します。実際にはIPアドレスやネットマスク、ゲートウェイなどを入力したコンフィグを設定します。最後にwrite memory
を実行してコンフィグを保存します。
configure terminal
app-hosting appid DESIRED_APP_ID
app-vnic AppGigabitEthernet trunk
vlan DESIRED_VLAN guest-interface 0
guest-ipaddress DESIRED_IP netmask DESIRED_NETMASK
exit
exit
app-default-gateway GATEWAY_IP guest-interface 0
name-server0 NAMESERVER1_IP
app-resource docker
prepend-pkg-opts
run-opts 1 "-e TEAGENT_ACCOUNT_TOKEN=12345678901234567890123456789012"
exit
exit
exit
write memory
コンテナの開始¶
設定が完了したのでコンテナを開始します。以降はCatalystを再起動してもコンテナは自動起動します。
app-hosting activate appid DESIRED_APP_ID
app-hosting start appid DESIRED_APP_ID
これでインストールは完了です。ThousandEyesのWeb管理画面でエージェントが認識されていることを確認します。
コンテナへの接続¶
通常は不要ですが、何らかの問題があり、コンテナへ接続してトラブルシューティングしたい場合は以下を実行します。
app-hosting connect appid DESIRED_APP_ID session